第1話

 俺たちが〝心霊スポットめぐり〟を始めたのは、高校卒業を間近に控えた一月の終わり頃だった。  去年までは部活が忙しすぎて、地元の友達と遊ぶ機会なんてほぼゼロ。なんせ練習に休みがない。「その競技で日本一になる」という限りなく実現…

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第2話

 十五分後、俺たち四人はファミレスにいた。  禁煙ゾーンの一番奥の隅に俺が座り、その隣に近藤。俺の前にはあご髭坊主の勇次、その隣にデカい図体を窮屈そうに縮めているタツオ、という布陣だ。  俺はタバコを吸わない――中学時代にやめた。…

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第3話

 その日からほぼ毎日、俺たち四人は、夜になると勇次の車で街に繰り出した。俺と近藤は暇だったし、勇次もタツオと二人だけよりは楽しかったのだろう。  一応まだ高校生の俺には、同い年の友人がすでに運転免許を取得し、かつ自分の車を所有しているこ…

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第4話

「鉄平さん、近藤さん、どうもっス!」  俺の一コ上の川西の車――白いミニバンから降りてきた篠崎が、コンビニの前で座っていた俺たちに挨拶をしてきた。今夜は勇次がいない。彼女とデートらしい。勇次がいないとタツオを拾ってくるヤツがいないので、…

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第5話

 剣ヶ丘霊園の駐車場は、夜中でも出入りが自由だった。  広い駐車場に外灯は一本だけ。外灯周辺以外は、自分の吐く息の白さがギリギリ分かるくらいの明るさしかない。それでも、駐車場内には五台ほどの車がまばらに停まっている。  こんな時間…

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第6話

 俺たちのあとに霊園から駐車場に走ってきたのは、二人の人間の男だった。  どう見ても幽霊には見えない。年齢は俺たちよりも少し上くらいだろうか。一人は黒髪短髪で、もう一人は茶髪のツーブロックだった。二人ともシャレた服装で、手には懐中電灯を…

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第7話

 次の日、俺と近藤は、久しぶりに午前中から高校に来ていた。  レスリング部が他校へ遠征することを後輩から聞いて、誰もいない日曜日のレスリング場に忍び込んだのだ。そして、二時間ほどスパーリングで汗を流した。  近藤は俺よりも二階級上…

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